「北の国から」の憧れを現実に。築43年の家を「秘密基地のような山小屋」へ再生させた、あるオーナーと大工の物語

2026/03/11 ブログ
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「北の国から」の憧れを現実に。築43年の家を「秘密基地のような山小屋」へ再生させた、あるオーナーと大工の物語

「ドラマ『北の国から』に出てくる、あの温かみのある山小屋のような家に住みたい」 そんな、どこか懐かしく、そして最高にワクワクする夢を抱いたことはありませんか?

今回、私たち「株式会社ふくろう」が手がけたのは、まさにそんな映画やドラマの世界を現実のものにするプロジェクトでした。舞台は札幌市内、河川敷のすぐそばに佇む築43年の一戸建て。元の家は、前のオーナー様が綺麗にリフォームされており、そのままでも十分に住める状態でした。しかし、新しいオーナー様が求めていたのは「綺麗で便利な現代の家」ではなく、もっと無骨で、遊び心に溢れ、木の温もりに包まれた「自分だけの秘密基地」だったのです。

今回は、この大規模リノベーションの全貌と、現場で繰り広げられたオーナー様と大工の二人三脚の記録を詳しくお届けします。

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1. 「綺麗すぎるのは好みじゃない」——壊すことから始まる理想づくり

最初にお話を伺った際、オーナー様が仰った言葉が非常に印象的でした。「前の持ち主さんが直してくれたから、中身はすごく綺麗なんです。でも、僕の理想とはちょっと違う。もっと荒々しくて、山小屋みたいな、落ち着く空間にしたいんです」

普通の工務店であれば「せっかく綺麗なものを壊すのはもったいない」と止めるかもしれません。しかし、私たち「ふくろう」は違います。お客様の心の中にある「理想の光景」を形にすることこそが、私たちの使命だからです。

工事はまず「解体」から始まりました。 リビングの天井を剥がし、隠れていた構造体を露わにします。和室の畳を撤去し、地下室の天井もすべて取り払いました。新しく作るために、あえて一度バラバラにする。この過程で、43年という歳月を支えてきた立派な「梁(はり)」が姿を現しました。この梁こそが、今回のリノベーションの主役になるのです。

2. スケルトン天井と「荒々しい木」へのこだわり

オーナー様のこだわりは、徹底していました。 「天井を高くしたい。そして、あえて荒々しい針を見せたい」

現代の住宅では、断熱性や見た目の均一さを求めて、天井をボードで塞いでしまうのが一般的です。しかし、今回はそれをあえてせず、構造を剥き出しにする「スケルトン天井」を採用しました。

天井を高くすることで、リビングには圧倒的な開放感が生まれます。そこに現れた古い梁には、当時の職人が墨を付けた跡や、木の節がそのまま残っていました。これこそが、既製品には出せない「生きた建築」の証です。

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床材にもこだわりました。選んだのは、工事現場の足場板やカフェなどで使われる「カフェ板」です。一般的なフローリングのようなツルツルとした加工ではなく、木の質感がダイレクトに伝わる荒削りな素材です。これを200枚近く、一枚一枚丁寧に貼っていきました。 このカフェ板、実は大工泣かせの素材でもあります。本物の木ですから、一枚ずつ反りもあれば色味も違います。それをうまく組み合わせて、違和感なく、かつ「わざとらしくない無骨さ」を演出する。これこそが、職人の腕の見せ所です。

3. 地下に作る「大人の隠れ家」と秘密基地への入り口

この家の最大の特徴は、地下室があることでした。 オーナー様の夢は、この地下室を「焼肉やアウトドアライフを楽しめる秘密基地」にすること。

まず着手したのは、地下への入り口です。元々は普通のシャッターがあった場所を解体し、ワクワクするような「秘密基地の入り口」を造作しました。 地下室の天井も、あえて塞がずにスケルトンにする予定でしたが、ここで一つ問題が発生しました。1階で貼ったカフェ板の裏側(地下から見上げた時の天井面)が、ボンドや汚れで予想以上に「汚く」見えてしまったのです。

「カフェ板を貼りながら気づいてはいたのですが、そんなに都合よくはいきませんね(笑)」

現場でオーナー様と膝を突き合わせて相談しました。結果として、地下は寝室にする予定もあったため、防音のためにグラスウール(断熱・吸音材)を詰め、ボードで天井を塞ぐことにしました。 「嫌な仕事ほど先にやるべきですね。天井を見るたびに『嫌だな』と思いながら作業したくないですから」 そんな職人としての本音も交えつつ、ピンク色や白色のチクチクするグラスウールと格闘しながら、一歩ずつ理想の空間へと近づけていきました。

4. 大工の真骨頂「階段造作」と、まさかの失敗からのリカバリー

リノベーションの山場の一つが、1階と地下を繋ぐ「階段」の製作です。 大工の世界では「階段を一人でかけられるようになって一人前」という言葉があるほど、階段作りは高度な計算と技術を要します。

特に今回は、限られたスペースに収める必要があるため、一段一段の「踏み面(ふみづら)」と「蹴上げ(けあげ)」の寸法を慎重に計算しました。建築基準法を守りつつ、できるだけ緩やかで登りやすい角度を探ります。

素材は、床や天井と統一感を持たせるために、やはり「カフェ板」を使用しました。工場でプレカットされた階段を組み立てるのとは違い、現場で木を切り出し、現物合わせで組んでいく作業です。

実は、この作業中にヒヤッとする場面もありました。丸ノコで斜めにカットする際、安定を欠いて切り口が少し歪んでしまったのです。 「ああ、いきなりやっちゃいました(苦笑)」

しかし、ここで諦めないのがプロです。私たちは「瞬間接着剤」という頼もしい相棒を駆使し、木の粉を混ぜて隙間を埋め、サンダー(やすり)で磨き上げることで、傷跡を全く分からなくしました。 「時が戻りましたね」 現場でのこうしたハプニングも、オーナー様と一緒に笑い飛ばせるような信頼関係が、この現場にはありました。

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5. 薪ストーブが灯す、家族と仲間の火

山小屋といえば、欠かせないのが「薪ストーブ」です。 リビングの一角に薪ストーブを設置するため、床を補強し、壁には耐熱のための工夫を施しました。

ストーブの背面には、蓄熱性の高いレンガを積むのが一般的ですが、今回はオーナー様の希望で、あえて「木毛セメント板」という、荒々しい表情を持つ素材を壁材として採用しました。コストを抑えつつ、無骨な世界観を崩さない、まさに「コスパ最強」の選択です。

煙突の設置では、既存の石油ストーブ用の煙突穴を再利用しようと試行錯誤しました。最後は天井からワイヤーで吊るという工夫を凝らし、無事に薪ストーブが鎮座しました。 火が入った瞬間、その家は単なる「建物」から、魂の宿る「住まい」へと変わりました。薪の爆ぜる音を聞きながら、河川敷の景色を眺める。そんな至福の時間がここから始まります。

6. モノ作りは「正解」を探す旅ではない

今回の築43年リノベーションを通して、改めて感じたことがあります。 それは、モノ作りにおいて大切なのは「綺麗に仕上げること」だけではない、ということです。

もちろん、プロとして構造の安全性や機能性は100%担保します。しかし、その先にある「遊び心」や「オーナー様のこだわり」にどれだけ寄り添えるか。 「頑張るべきところを頑張って、抜けるところをいかに抜けるか。それが全体の工期やコストに大きく影響し、結果的にお客様の満足度に繋がるんです」

DIYを愛するオーナー様とは、時に一緒に作業をし、時に大工としてのアドバイスを送り、まるで文化祭の準備をしているような楽しさが現場には溢れていました。 地下に部屋を作り、カフェ板で階段をかけ、薪ストーブを据える。その一つひとつの工程が、オーナー様にとっては「夢の欠片」を繋ぎ合わせる作業だったはずです。

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あなただけの「山小屋」を作りませんか?

完成した家は、もう43年前の面影を感じさせないほど、生命力に満ち溢れていました。 天井の梁は堂々と空間を支え、カフェ板の床は使い込むほどに味が出ていくでしょう。地下の秘密基地では、これから仲間たちと語らう楽しい夜が何度も訪れるに違いありません。

「こんな古い家、リフォームしても無駄かな」 「ドラマみたいな家なんて、予算的に無理だろうな」

そう思っている方がいたら、ぜひ一度私たちにその夢を話してみてください。 株式会社ふくろうは、あなたの「遊び心」を全力で応援します。 たとえ効率が悪くても、たとえ手間がかかっても、あなたがその場所で「福」を感じてくれるなら、私たちは喜んでノミを研ぎ、木を削ります。

「モノ作りで福を呼び込む」

札幌の街で、また一つ、物語の詰まった「山小屋」が誕生しました。 次は、あなたの夢を形にするお手伝いをさせてください。

今回の現場で使用した「カフェ板」。実は200枚近く貼るというのは、なかなかの重労働でした(笑)。でも、貼り終えた後にサンダーで磨き、塗装をした瞬間に浮かび上がる木目は、何度見ても飽きない美しさがあります。 「失敗してもごまかせるのが木のいいところ」なんて冗談も言いましたが、その「ゆとり」こそが、住む人の心を豊かにするのだと思います。

大工は、家という地図を描く旅人です。迷って迷って選んだ未来が、この家のように輝くものでありますように。

また次の現場でお会いしましょう!